日野啓三”私の中の他人”の表紙になった作品「シチュエーション」
人の記憶はあいまいなもの。(特にわ・た・し・)
先日、イッセイオガタの黒の作品のことを書いたが、実は、文藝春秋社から昭和50年に出版された日野啓三の「私のなかの他人」を開いて同じ作品が載っているのに気がついた。
日本に戻ったばかりで、これから銅版画をどのように展開させていくか、迷っていた頃、当時文藝春秋社にいた大学時代の同窓生和田氏から、本の装丁のお話を頂いた。非常にうれしいお話で、
モノクロの作品がどのような形で文芸書に現れるのか興味深かった。
時を経て、あらためてこの本を手にすると、その中のエッセイの一遍「形無いものの影」とオガタの
黒のシリーズが新しい顔で表れてきた。まったく違う次元と意図で制作していたものが、ある時、偶然に共通性をもって理解され、語りかける。新しい発見があった。
マダム